
情景描写がうまく書けません!

頭の中では浮かんでいるのに、文章にすると説明っぽくなってしまいます…
文章を書く人の多くが、一度はこの壁にぶつかります。情景描写が上手く書けないと、物語が平坦に感じられてしまいますよね。ですが、安心してください。

情景描写は才能ではなく、コツと考え方がわかれば上達する技術です!
この記事では、情景描写の基本や苦手になりやすい理由、今日から使える具体的なコツまで解説します。すぐに実践できる情景描写の練習方法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
情景描写とは?風景描写との違い
小説を書いていると、「情景描写」「風景描写」という言葉をよく耳にすると思います。風景描写はその名の通り、その場に見える風景・景色を描写するものです。
それに加えて情景描写は、場所や景色だけでなく、その場の空気感やその景色を見ている人物の感情・心情まで伝える描写のことです。
- 風景描写:山がある、海が青いなど客観的な説明
- 情景描写:その景色を見た人物がどう感じたかまでを含める
つまり情景描写は、「どんな場所か」+「誰が、どんな気持ちで見ているか」がセットになって初めて成立するということです。
情景描写が苦手になる理由

情景描写を読むのは好きですが、自分が書くのは苦手です…

情景描写ができているのか不安です…
小説を書く人の多くが、「情景描写は苦手だ」と嘆きがちです。かくいう私も、情景描写が綺麗な小説を読むのは好きですが、自分で書くのはそれほど得意ではありません。
一体なぜ、情景描写には苦手意識が生まれてしまうのでしょうか?
説明文になってしまう
情景描写を書こうとすると、「説明文になってしまい描写ができない!」というのが、最も多い理由として挙げられます。

伝えよう!と書いているうちに、説明になっていました…

実は、正しく伝えなければ!という気持ちが落とし穴なのです。
例えば、「〇〇公園は広く、ベンチがあり、木がたくさん生えていた」これだけでは風景を説明しているだけになってしまいます。
情景描写は風景描写ではないため、目で見たものだけを書けばいいものではありません。
全て描こうとしてしまう
登場人物の目に映っているものや、部屋の中にある全てのもの・その世界にあるものなど、読者に伝えたくてすべてを描いていませんか?
伝えたくなる気持ちはわかりますが、全てを文章で伝えても読者には伝えきれません。

大切なのは、そのシーンで重要な部分だけ選ぶことです!
登場人物が見ている景色・感じている空気や匂い、その中でも今の登場人物の心情に関係があることや、物語のキーとなるものなど、重要なものを選別してみてください。
一度描きたいものを書き出してから、その中から実際に描くもの・描かなくていいものを分けると選別がしやすくなりますよ。
感情と結びついていない
説明文になっている文章の多くは、風景を描いた後で気持ちを添えるという順番で書かれています。
しかし情景描写は、感情と結びつけて描く必要があります。そのため、情景には登場人物の感情が映し出されています。
情景がただの「風景」になってしまうと、物語と切り離されてしまいます。情景描写は、感情を支える役割を持っています。
情景描写が上手くなる5つのコツ
それではいよいよ、情景描写が上手くなる5つのコツを紹介します。苦手意識を感じている人も、ぜひこの5つを意識して描いてみてください。
① 五感をすべて使おうとしない
情景描写は五感を使って表現します。だからと言って、五感全てを使う必要はありません。情景描写では、五感は「選ぶもの」です。1〜2つの感覚に絞ったほうが、読者の頭の中に映像がくっきり現れやすいです。
例えば、以下の表現を見てみましょう。
空は青く、風が吹き、蝉が鳴き、暑く、土の匂いがして、手に汗をかいていた。
五感を全て盛り込むと、情報は多いのに、どんな場面か思い出せない文章になってしまいます。なぜなら、読者が「どこに意識を向ければいいか」わからなくなるからです。

主人公の感情に近い五感を選ぶと、自然に描写できるようになります!
五感を選ぶ時は、感情と相性の良い感覚を選びましょう。一例ですが、感情と相性のいい感覚をリスト化しました。
何を選べばいいのかわからない時は、上記を参考に選別してみてください。
② 感情を先に決めてから描く
情景描写は感情と結びつけて書くことが大切だとお伝えしました。感情が決まっていない状態で描くと、情景はただの「風景の説明」になってしまいます。
感情を先に決めておくと、「この気持ちを伝えるには、どのような表現が良いだろうか?」と考えられるようになり、描写が自然に絞られます。

情景が「心の反映」になり、感情を説明しなくても、自然に伝わるようになりますよ!
実際に、感情を先に決めてから描く方法をお伝えします。
- 感情を一言で決める(寂しい・不安・嬉しいなど)
- その感情の「強さ」を決める(少し、押しつぶされそうなくらい)
- 感情に合う感覚を選ぶ
- 見せたい「一点」を決める(全体ではなく象徴になる1つを選ぶ)
- 感情を直接書かない
これらを意識することで、説明にならず、読者の頭の中に映像を浮かべることができるようになります。
③ 主人公の立ち位置を明確にする
立ち位置とは、どこにいるか・どの高さから見ているか・どこを見ているか、というカメラの位置のことです。立ち位置が決まっていないと、視点がふわふわしてしまいます。
この3つが揃うと、視点が定まり描写が安定します。
④ 動き・変化を入れる
静止画だけだと、文章は止まって見えます。動きや変化を加えることで、読者は「見ている」だけでなく、「その時間を一緒に過ごしている」感覚になります。
小さな動きがあるだけで、時間の流れを感じさせられ、情景を生かすことができます。
実際に動きを入れる際の4つのポイントを紹介します。
- 風・光・雲など、勝手に動くものを使う
- 突然鳴る・途切れるなど、音の変化を使う
- 影が伸びるなど、光と影の変化を使う
- 視線を逸らす・息を吐くなど、主人公の無意識な動きを使う
動きも五感と同じで、一つあれば十分です。

感情や物語の場面の変化を感じさせられるものを選び取りましょう!
⑤ すべて説明しない「余白」を残す
情景描写を描く時は、読者に想像させる余地を残すことも大切です。すべてを書き切る必要はありません。
- 感情を言葉にするなど、すべてを言語化しない
❌ 不安だった
⭕ 時計の秒針が、やけに大きく聞こえる - 情景全体ではなく、象徴を一つ描く
- 結論を書かない
〜だった → 〜のように見えた
〜に違いない → 〜かもしれない
読者を信頼して、感じ取ってもらう勇気を持つことが大切です。
情景描写のNG例と改善例
情景描写が苦手になる理由やコツはわかったけれど、実際に描き始めると「思っている通りにならない」ことは多いでしょう。ここでは、実際に情景描写のNG例と改善例を紹介します。
NG例|情報だけの情景描写
①公園を描いたNG情景
公園は広く、夕方で、人は少なかった。
空はオレンジ色で、風が吹いていた。
状況は分かりますが、感情が見えてきません。
②部屋の様子を描いたNG情景
部屋は静かで、机とベッドがあり、窓から夕方の光が差し込んでいた。
人はいなかった。
部屋の様子はわかりますが、だから?となってしまいがちです。
③カフェでの様子を様子を描いたNG情景
カフェの中は静かで、コーヒーの匂いがしていた。
人はあまりいなかった。
人のいない静かなカフェということしか伝わりません。
改善例|感情が伝わる情景描写
①公園を描いた情景(改善)
夕方の公園は、思ったより静かだった。
ブランコが風に揺れ、誰もいない空気がやけに広く感じられる。
オレンジ色の空を見上げて、胸の奥が少しだけ冷えた。
NG例では公園の様子を描いていただけですが、五感を取り入れることで、静かさと広さから、主人公の寂しさや切なさが感じられます。先ほどよりも、実際に公園の様子が感じられるのではないでしょうか。
②部屋の様子を描いた情景(改善)
部屋に入ると、音がなかった。
窓から差し込む夕方の光が、誰もいない床に長く伸びている。
静けさと夕日の象徴が寂しさを感じさせられます。さっきまで人がいた状態から誰もいなくなった静けさなのか、他に人が住んでいたのか…。孤独感が感じられます。
③カフェでの様子を様子を描いた情景(改善)
カップの縁から、コーヒーの湯気が細く立ち上る。
その様子をただ見つめるばかりで、まだ一度も口をつけられていない。
人待ちなのか、初めて一人で訪れて緊張しているのか、何か悩み事があるのか…。コーヒーの湯気が小さくなるほどの時間が過ぎていても、コーヒーを飲めない不安や落ち着かなさを描写できます。

このように気持ちと連動する形で描くことで、ただの説明が描写になります。
すぐ実践できる情景描写トレーニング法
情景描写に苦手意識がある方は、紹介する3つのトレーニング法を試してみてください。何度も練習するうちに、描けなかった情景が描けるようになりますよ。
① 1シーン100文字練習
1シーン100文字練習とは、1つの感情を100文字以内の1つの情景で描く練習方法です。
ストーリーを描く必要はなく、先ほどの例題のように感情を情景で表す練習をする方法です。

どうして、100文字なのですか?

100文字だと、詳しく描こうとするとオーバーしやすい文字数だからです!
短い文字数で練習するからこそ、全てを描かずに選定する癖がつきます。どの五感を入れるか、どの動きを入れるか、選びとるからこそ説明し過ぎずに余白を感じさせることができます。
② 画像を見て感情を設定して書く
画像を見て、「この場所で誰がどんな気持ちなのか」を決めて書く練習方法です。この練習により、情景を「感情のフィルター」を通して描く感覚を身につけられます。
見たままの様子を描くのではなく、五感を使って感情を感じさせましょう!
日常風景(カフェや公園など)や人が写っている画像がおすすめです。同じ写真を使って、描く感情だけを変えて2,3パターン描けるようになると、描写の幅が広がります。
主人公の立ち位置を変えたり、時間帯を変えたり、あらゆる角度から一つの画像を描写してみてください。情景描写の引き出しが一気に増えていきますよ。
③ 好きな小説の情景描写を書き写す
好きな小説の情景描写を書き写すのもおすすめです。プロの文章を写すことで、1つの描写に対する情報量やリズム、余白が体感的に身につけられます。
- 書き写すのは3〜10行程度
- 心が動いた場面を写す(理由は言語化しなくてOK)
- 派手すぎない日常描写も◎
「なぜか好き」と感じた描写が一番描きやすいです。

ただ写すだけではなく、文章の構造を研究してみましょう!
描写の構造を分析することで、描きたい情景に必要な要素が見つけられます。
まとめ|情景描写のコツは「上手く書こうとしないこと」
情景描写は、映像を完璧に再現することでも、すべてを説明することでもありません。情景描写は、読者に主人公の感情を伝えるものです。感情と結びつけることを意識しましょう。
最初は上手く書けなくて当然です。誰でも、初めから上手くできるものではありません。しかし、意識して書き続ければ必ず上達します。
「伝えたい感情は何か?」そこから、情景を選んでいきましょう。
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