情景描写が苦手で、周りの様子がわかりづらいと言われます
小説の中でも、情景描写は難しいですよね
この記事では、そんな情景描写が苦手な人が意識しておきたいことを紹介します。情景描写を上手く描けるようになるには、描き方を知る前に「そもそも情景描写とはどういうものなのか?」を知る過程が大事です。
情景描写がどういうものかがわかれば、苦手意識がなくなり気軽に書けるようになりますよ!
そもそも情景描写とは?
情景描写は、その名の通りそのシーンの景色や風景など周りの様子を描くものです。キャラクターの動きや雲行き、周りの空気の変化などを描くことで、今何が起きているかを読者に伝えられる効果があります。
映像で見せる情景描写
アニメやドラマの場合は、視覚情報として周りの様子やキャラクターの様子を伝えられます。
情景描写を意識しなくてもいいってことですか?
映像で見せる場合も、ただキャラクターや風景を見せる場合と、意味を持たせた情景を見せる場合があります。
例えば、キャラクターの表情をあえてアップで映してみたり、意味ありげな後ろ姿を映したり、キャラクターの表情から空に映像を切り替えてみたりと、最も伝えたい部分にカメラを向けることで意味ある情景を見せる方法があります。
心情を考えさせる場合、ミステリーだったらヒントとなるもの、ミスリードとなるもの
映像の場合もただすべてを見せるだけではなく、視聴者を誘導する描写があります
文章で見せる情景描写
文章で情景描写を行う場合、目的は複数あります。
・キャラクターの見た目を伝えるため
・今キャラクターたちがいる場所を読者に伝えるため
・景色や周囲の様子をキャラの心情とリンクさせるため
小説で情景描写を行う場合、上記の3つの目的が考えられます
キャラクターの見た目や場所がわかるように周囲の様子を描写するのは、文章でしか想像ができない小説ならではですね。説明をせずとも伝わる場所ならば問題ありませんが、架空の場所ならば丁寧な描写が必要です。
「景色や周囲の様子をキャラの心情とリンクさせるため」については後ほど詳しく解説しますが、周りの様子からキャラクターが嬉しそうなのか悲しそうなのか、複雑な心境なのかをより感じさせられます。
情景描写とは映像をそのまま書くことではない!
情景描写は周りの風景やキャラクターの見た目について伝える時にも利用するとお伝えしました。しかし、周りの景色を伝えるといっても、ただ見たままを描いてはいけません。
例えば、以下のような文章を読んで何を感じますか?
僕は今友達と待ち合わせをしている。待ち合わせ場所の周りは木が多い。同じように待ち合わせをしている人もたくさんいる。天気は晴れていて、太陽が照りつけている。少しして、友達が僕を呼ぶ声が聞こえた。
主人公が待ち合わせをしている場所から見えるものをただ羅列しただけの文章です。周りの景色については伝えられますが、このまま友達と合流して次の場所に向かった場合、「今の描写はなんだったのだろうか?」「あえて書く必要あったのかな?」と思いませんか?
書く必要のない情報は読者にとって無駄なものになってしまいます
それじゃあ、どう描けばいいんですか?
上記の例を使って、正しい情景描写の書き方をご紹介していきます。
心理描写と情景描写をあわせる
心理描写と情景描写をあわせると、周りの景色が読者にも入ってきやすく意味のあるものになります。前章で「景色や周囲の様子をキャラの心情とリンクさせるため」に情景描写を描くと伝えました。それが、ここに繋がります。
さっきの周りの様子を描いただけの風景に
心理描写を混ぜてみましょう!
【周囲の様子を伝えただけの文章】
僕は今友達と待ち合わせをしている。待ち合わせ場所の周りは木が多い。同じように待ち合わせをしている人もたくさんいる。天気は晴れていて、太陽が照りつけている。少しして、友達が僕を呼ぶ声が聞こえた。
【心理描写を織り交ぜた文章】
僕は今友達と待ち合わせをしている。待ち合わせ場所の周りは木が多くて助かった。今日のように半袖でも汗ばむ朝は、木陰が清涼スポットになる。実際、周りを見渡してみたら僕と同じように待ち合わせをしている人もたくさんいる。みんなうちわや小型扇風機をつけながら暑そうにしている。こんな日に何も持っていないのは、僕くらいだろうか?恨めしいくらいに照りつける太陽に内心舌打ちをしていると、ほどなくして友達が僕を呼ぶ声が聞こえた。10分も遅れているのに、呑気な笑顔だ。
先程の周りの景色は変わらないのに、待ち合わせしている僕の心情が伝わってきませんか?また、僕や周りの様子から暑い日の外での待ち合わせ、そんな中10分遅刻している友達にイラついているということがわかりますね。
これが心理描写を織り交ぜた情景描写です!
一人称の小説ならば、この書き方が一般的で書きやすい書き方です。情景描写が苦手、どう書いていいかわからない時は、ぜひ今回のように一度周りの景色を書いてからキャラクターの心情を混ぜてみてください。
情景描写は五感を使って体験させる
情景描写には、もう一つ五感を使って読者に体験させる方法もあります。視覚、聴覚、触覚などを使って読者がその場所にいるように感じさせる描写方法です。
読者がその場に実際にいるように感じさせる方法です!
再度、先程の文章を例に解説していきます。
【周囲の様子を伝えただけの文章】
僕は今友達と待ち合わせをしている。待ち合わせ場所の周りは木が多い。同じように待ち合わせをしている人もたくさんいる。天気は晴れていて、太陽が照りつけている。少しして、友達が僕を呼ぶ声が聞こえた。
【五感を使った描写】
僕は今友達と待ち合わせをしている。緑濃く色づく木々の下にいると、汗ばんだTシャツをカラッと乾かしてくれるようだ。同じように待ち合わせをしている人も多く、アイスコーヒーやアイス、柑橘の匂い漂う炭酸飲料などの香りがあちらこちらから漂ってくる。酔うほどのきつい匂いではないため、まるでカフェの中にいるような気分になれる。ただ一つ煩わしいのは、貴重品以外何も持たずに躍り出た僕をあざ笑うように照りつける太陽だ。睨みつけてやろうとすれば、こっちが先にやられてしまう。僕も周りにならって自販機にでも行こうかと思いかけた時、遠くから僕を呼ぶ声が聞こえた。
先程の心理描写よりも五感を際出せた情景描写に仕上げました。周りから漂う香り(嗅覚)、緑濃い木、照りつける太陽(視覚)、汗ばむ様子と木陰で涼む様子(触覚?)というようにその場にいる主人公の五感を描くことで、読者によりリアルにその場所を体感させられます。
ただし、この描写は多用注意!
ここぞという時に使いましょう
どれくらい描けばいいのか、加減が難しいですね
いい塩梅を見つけるのは難しい問題です。次項でそれについてしっかり解説していきます。
情景描写はどれくらい書くのが正解?
情景描写を書きすぎてしまうと、物語の時間が遅くなってしまいます。先程例で紹介したような細かい説明を毎度行っていては、読者もしつこく感じますし、何よりも物語が進みません。
登場シーンだから相手について描きたい!
このシーンは丁寧に描きたい!という時に使いましょう
情景描写はここぞ!という時に丁寧に書くようにしましょう。それ以外は、キャラクターのセリフや動作や表情の説明を行う、このお店に入った、ここに向かっているということを描く程度で問題ありません。
- 情景描写をするのか
- キャラクターのセリフで進めるのか
- キャラクターの内面などの心理描写で進めるのか
小説は何を伝えたいかによって、今何を描くのかをかき分けることが大切です。
最初は難しく感じられるかもしれませんが、ようは「読者にどこを見てほしいのか?」「何を今一番知らせる必要があるのか?」という目線で考えれば自然と答えが見えてきますよ。
まとめ
今回は、情景描写とは何か?描き方と共に解説してきました。小説を書き始めた方にとっては、情景描写は難しくてハードル高く感じられるかもしれません。
しかし、実際は一つ一つ目的を知って紐解いていけば、それほど難しいものではありません。
情景描写が何かわからない、表現・描写の描き方で悩んでいる人はぜひKindleで出版している私の著書を読んで見てください。
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